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役員の任期、確認していますか? ─ 役員変更登記を忘れたときのリスク

株式会社の取締役・監査役には任期があり、任期が満了すると、同じ人が引き続き就任する場合であっても変更登記が必要です。法務局のよくあるご質問でも、任期満了で退任し、時間的間隔を置かずに再任された場合(登記実務上「重任」といいます)にも変更の登記が必要と案内されています。「役員は誰も変わっていないから登記は不要」と思い込んでいると、知らないうちに登記を怠っている状態になりかねません。この記事では、任期の基本と確認の手順を解説します。

役員の任期の基本

  • 取締役:選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで(会社法第332条第1項)。定款や株主総会の決議で短縮することもできます
  • 監査役:選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで(会社法第336条第1項)
  • 公開会社でない株式会社(株式の譲渡制限がある会社):定款で定めれば、取締役・監査役とも、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長できます(会社法第332条第2項、第336条第2項)。ただし、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社の取締役は除かれます

「2年」はちょうど2年ではない

任期は、選任の日から機械的に2年を数えるのではなく、「定時株主総会の終結の時」を基準に考えます。たとえば3月決算の会社で、2024年6月の定時株主総会で取締役を選任した場合、選任後2年以内に終了する最終の事業年度は2026年3月期となり、その事業年度に関する定時株主総会(通常は2026年6月)の終結の時に任期が満了します。決算期や定款の定めによって満了の時期は変わるため、自社の定款と照らし合わせて確認することが大切です。

任期は長ければよいとは限らない

任期を10年に伸ばすと、登記の回数が減り、登録免許税や手続きの負担は軽くなります。一方で、次の登記まで間隔が空くため、満了の時期を忘れやすくなります。また、役員は株主総会の決議によっていつでも解任できますが、解任された役員は、正当な理由がある場合を除き、解任によって生じた損害の賠償を会社に請求できるとされています(会社法第339条)。任期を長くするほど、途中で交代したい事情が生じたときの影響も大きくなりうるため、会社の状況に合わせて任期の長さを検討することが大切です。

登記の期限と費用

登記した事項に変更が生じたときは、2週間以内に、本店の所在地で変更の登記をしなければなりません(会社法第915条第1項)。法務局のよくあるご質問では、取締役の場合、この期間は株主総会の決議の日ではなく、取締役が就任を承諾した日から数えるとされています。

役員の変更登記にかかる登録免許税は、国税庁の税額表で、1件につき3万円(資本金の額が1億円以下の会社は1万円)とされています。

登記を忘れるとどうなる?

  • 過料のおそれ:会社法第976条第1号により、登記をすることを怠ったときは100万円以下の過料に処するとされています。法務局のよくあるご質問によると、期間を過ぎて申請しても、そのことを理由に登記が却下されることはありませんが、過料の対象となる可能性があります
  • みなし解散のおそれ:最後の登記から12年を経過した株式会社は「休眠会社」として、法務大臣の官報公告と登記所からの通知のあと、届出や登記をしないと解散したものとみなされます(会社法第472条)。任期を10年に伸ばしている会社で重任登記を一度忘れると、この12年に届いてしまうことがあります
  • 登記と実態のずれ:登記事項証明書の役員欄が実態と合わないままになり、取引先や金融機関に説明が必要になることがあります

任期を確認する手順

  1. 登記事項証明書で、現在の役員と、前回の就任(重任)の日付を確認する
  2. 定款で、任期の定め(伸長・短縮の有無)と事業年度を確認する
  3. どの定時株主総会の終結の時に任期が満了するかを特定する
  4. その定時株主総会で役員を選任(重任)し、就任の承諾を得る
  5. 2週間以内に変更登記を申請する
  6. 次回の満了時期を、社内の年間予定に記録しておく

よくある見落とし

  • 任期を10年にしたまま担当者が交代し、満了の時期が引き継がれていない
  • 監査役の任期を取締役と同じと思い込み、片方の登記が漏れる
  • 取締役の重任登記だけを考え、代表取締役の登記を忘れる
  • 役員の住所や氏名が変わったのに、変更登記をしていない

なお、令和6年10月1日から、一定の要件のもとで代表取締役等の住所の一部を登記事項証明書などに表示しない「代表取締役等住所非表示措置」が始まっています。この申出は住所が登記される申請と同時に行う必要があり、法務省の案内では、代表取締役の重任の登記の際にも申出ができるとされています。一方で、融資や不動産取引の場面で不都合が生じたり、必要な書類が増えたりする可能性もあるため、事前に十分検討することが求められています。

まずは登記簿で確認を

前回の役員変更の時期は、登記事項証明書で確認できます。任期の数え方は定款の定めや機関設計によって異なるため、判断に迷う場合はお気軽にご相談ください。ワトナル司法書士事務所では、任期の確認から、株主総会議事録など登記に必要な書類の準備、変更登記の申請までお手伝いしています。

参考資料