CASE

事例紹介

製造業の管理会計構築 ― 発注先選定と助成金活用を一体で設計

顧客像
電子基板実装業(年商約3億円)
担当
株式会社ワトナル
テーマ
制度調査・計画

課題

管理会計と経理業務の基盤を整えるため、外部の専門会社への発注先と範囲を決める必要があった。

支援の内容

2社の見積を体制・範囲・支払条件で比較し、期間3か月・本社1拠点に範囲を確定。採用案の費用を業務改善助成金の対象経費として組み立てた。

成果・ポイント

発注先の採用方針を決め、賃上げを伴う助成金申請の設計へ接続した。

背景にある制度・ルール

業務改善助成金の仕組み

業務改善助成金は、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を引き上げるとともに、生産性向上に役立つ設備投資等を行った中小企業・小規模事業者に、その費用の一部を助成する制度です。厚生労働省は、対象となる設備投資等の例として「機械設備導入やコンサルティングなど」を挙げています。

支給額は、対象経費に助成率を掛けた額と、引上げ額や引き上げる労働者数に応じた上限額とを比べ、いずれか安い方の金額になります。助成率は、引上げ前の事業場内最低賃金によって変わります。2026年度(令和8年度)は、引上げの対象として数える労働者が、雇用保険の被保険者で雇入れから6か月を経過した方に限られています。申請期間は原則として9月1日からで、地域別最低賃金の発効日の前日などが締切となるため、地域によって期限が異なります。

計画と交付決定が先

この助成金は、賃金引上げと設備投資等の計画を提出し、交付決定を受けてから実施する仕組みです。交付決定前に購入・導入したものは助成の対象外とされています。また、設備投資等については原則として相見積もりが必要で、2社以上から見積もりを取るよう案内されています。賃上げも設備投資等も「これから実施するもの」が対象であり、計画の段階で中身を固めておくことが欠かせません。さらに、事業の完了期限も決められており、設備等の納品・支払と賃金の引上げを、その期限までに終える必要があります。

支援のポイント

2社の見積を3つの観点で比較

本事例では、管理会計と経理業務の基盤づくりを外部の専門会社に依頼するにあたり、2社の見積を「体制」「範囲」「支払条件」の観点で比較しました。金額だけで比べると、担当者の体制や作業範囲の違い、支払の時期が見落とされがちです。助成金の活用を前提にする場合は、事業の実施期間や支払の時期が制度の期限に収まるかどうかも重要な確認事項になります。

範囲を「期間3か月・本社1拠点」に確定

依頼する範囲を、期間3か月・本社1拠点に確定しました。範囲があいまいなままでは、見積の比較も、助成金の対象経費の整理もできません。期間と拠点を先に決めることで見積の前提がそろい、事業の完了時期の見通しも立てやすくなります。期間をはっきり区切っておくことは、助成金の完了期限の中で事業を終えられるかを確かめるうえでも意味があります。

採用案の費用を対象経費として組み立てる

比較の結果を踏まえ、採用案の費用を業務改善助成金の対象経費として組み立てました。この助成金は、賃上げと生産性向上の取組みをセットで計画するものです。発注先の選定と助成金の設計を別々に進めるのではなく一体で考えたことで、発注先の採用方針の決定から、賃上げを伴う助成金申請の設計へと自然につなげることができました。

同じような課題をお持ちの方へ

  • 発注・契約は交付決定の後に:助成金を使う予定なら、契約・発注・支払のタイミングを事前に必ず確認します。
  • 見積の前提をそろえる:期間、対象拠点、成果物、体制を同じ条件で依頼し、比較できるようにします。
  • 完了期限から逆算する:納品・支払・賃上げをいつまでに終える必要があるかを確認し、委託の期間をその中に収めます。
  • 賃上げの計画とセットで考える:誰の賃金を、いつ、いくら引き上げるかを、資金計画とあわせて確認します。
  • 対象となる労働者を確認する:雇用保険の加入状況や雇入れ日を確認します。
  • 申請期限を確認する:締切は都道府県によって異なり、予算の状況によって早く締め切られることもあります。
  • 申請は任せきりにしない:申請は事業主の責任で行うものです。専門家に依頼する場合も、社会保険労務士などの資格者に依頼し、内容の説明を受けましょう。

株式会社ワトナルでは、発注先の比較や範囲の整理、助成金の活用を見据えた計画づくりのご相談をお受けしています。

参考資料

※守秘義務に配慮し、ご承諾をいただいたうえで、業種・地域・規模などを匿名化して掲載しています。