CASE

事例紹介

3社間の定型約款を設計(不用品回収・リユース)

顧客像
引越し・生活支援のグループ(運送会社と、回収・買取会社)
担当
ワトナル司法書士事務所
テーマ
契約書・約款

課題

不用品回収とリユース品販売の契約書がばらばらで、特定商取引法の適用関係も整理されていなかった。

支援の内容

顧客と2社の三者を当事者とするWeb掲載型の定型約款に再構成し、LINEでの申込・同意を前提に設計。訪問前に契約が成立する「通信販売」型と整理したうえで、事業者の顧客への適用除外や、仮に訪問販売とされた場合の取扱いまで見据え、取引の実態が想定と違っても対応できる3層の整理を組んだ。現場用の作業確認書も作成。

成果・ポイント

作業当日に料金を変えない運用とし、事前に示した内容どおりに取引が行われるようにした。

背景にある制度・ルール

定型約款(民法第548条の2〜第548条の4)

不特定多数の顧客を相手に行う取引で、内容が画一的であることが双方にとって合理的なものを「定型取引」といい、その契約の内容とするために事業者が準備した条項の総体を「定型約款」といいます。定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき、または事業者があらかじめその旨を顧客に表示していたときは、個別の条項にも合意したものとみなされます(民法第548条の2第1項)。

ただし、顧客の権利を制限したり義務を重くしたりする条項で、信義則に反して顧客の利益を一方的に害すると認められるものは、合意しなかったものとみなされます(同条第2項)。また、顧客から請求があれば遅滞なく相当な方法で内容を示す必要があり(第548条の3)、変更する場合は、変更の内容や効力発生時期をインターネットなどで周知する必要があります(第548条の4)。

特定商取引法の「通信販売」と「訪問販売」

特定商取引法では、事業者が営業所等以外の場所で契約の申込みを受けたり契約を締結したりする取引を「訪問販売」、郵便等の方法で契約の申込みを受ける取引を「通信販売」といいます(第2条第1項・第2項)。どちらにあたるかで、事業者の義務は大きく異なります。

  • 訪問販売:勧誘前の氏名等の明示、申込み・契約時の書面交付、書面を受け取った日から8日以内のクーリング・オフ、不当な勧誘の禁止などが定められています。
  • 通信販売:広告に価格や送料、支払・引渡しの時期などを表示する義務、誇大広告の禁止、申込みの最終確認画面などでの表示、返品に関する特約の表示などが定められています。

適用除外の規定

申込みをした者や購入者が営業のために、または営業として締結する契約には、訪問販売や通信販売の規定は適用されません(第26条第1項第1号)。また、住居で契約の申込みや締結をすることを請求した者に対して行う訪問販売などには、書面交付やクーリング・オフなどの規定が適用されないとされています(同条第6項)。もっとも、消費者庁のQ&Aでは、これらの除外は具体的な事情に照らして判断されることが示されており、除外を当てにしすぎない設計が求められます。

支援のポイント

三者を当事者とするWeb掲載型の定型約款

ばらばらだった不用品回収とリユース品販売の契約書を、顧客と2社の三者を当事者とするWeb掲載型の定型約款に再構成しました。複数の会社が一つの流れでサービスを提供する場合、契約書が会社ごとに分かれていると、どの会社がどの責任を負うのかが顧客にも現場にも分かりにくくなります。一つの約款にまとめることで役割と責任の範囲を整理し、Webに掲載することで、内容をいつでも示せる状態にしています。

LINEでの申込・同意を前提に

申込みと約款への同意をLINEで行うことを前提に設計しました。定型約款が契約の内容になるには、約款を契約の内容とする合意か、あらかじめの表示が必要です。申込みの流れの中で約款を示し、同意を得る手順を組み込むことで、この要件を満たしやすくしています。

3層の備え

訪問前に契約が成立する「通信販売」型と整理したうえで、事業者の顧客の適用除外と、訪問販売とされた場合の除外規定を重ねた3層の備えを組みました。一つの整理だけに頼ると、取引の実態が想定と違った場合に備えがなくなります。層を重ねることで、どの見方をとっても対応できるようにしました。

作業確認書と、料金を変えない運用

現場用の作業確認書も作成しました。また、作業当日に料金を変えない運用に合わせることで、事前に示した内容どおりに取引が行われるようにしました。訪問先で料金や内容を変えると、その場で新たな契約をしたとみられるおそれがあり、通信販売型という整理そのものが揺らぎかねません。事前に確定した内容で作業し、その内容を確認書で記録する運用は、約款の設計と一体のものです。

同じような課題をお持ちの方へ

  • 取引の流れを書き出す:申込み、見積、契約の成立、訪問、作業、支払が、いつ・どこで・誰との間で行われるかを整理します。
  • 取引類型を確認する:契約が成立する場所とタイミングによって、通信販売か訪問販売かが変わります。
  • 買取がある場合は「訪問購入」も確認する:事業者が消費者の自宅などを訪問して物品を買い取る取引には、不招請勧誘の禁止、書面交付、クーリング・オフなどの規制があります。
  • 約款の示し方と同意の記録を決める:Web掲載、申込画面での表示、同意の記録方法を決めておきます。
  • 一方的な条項に注意する:顧客の利益を一方的に害する条項は、合意しなかったものとみなされるおそれがあります。
  • 現場の運用と合わせる:約款どおりに現場が動けるよう、作業確認書や手順を用意します。

契約書・約款の作成・条項確認、修正文案の作成(紛争性のないものに限ります)は、グループのワトナル行政書士事務所(行政書士 杉山 貴啓・東京都行政書士会 第23080968号)がお受けしています。

参考資料

※守秘義務に配慮し、ご承諾をいただいたうえで、業種・地域・規模などを匿名化して掲載しています。